凡人は歴史に学ぶ

歴史を学ぶって、まさに人間学なんですよね。

諸外国の信用を得た明治政府

谷沢永一さんの著書から――

 

 明治維新直後に元勲たちが諸外国に対してなしたことのうち、日本のその後のイメージをたいへんよくしたのは、徳川幕府が各国から借りていた金を、維新政府の手によって懸命になって返したことです。明治維新によって政権交代したが、前政権の徳川幕府が国際的に各国から借りた金を、明治政府は脂汗流しながら全額返したのです。一銭たりとも踏み倒さなかった。

 明治維新の前、倒れる幕府が諸外国からたくさんの借款をしました。・・・幕府にもいろいろないいところがありましたが、困ることの一つは、金を借りることに対して鈍感であったことです。人間社会で、何が難しいかと言って、金を借りることほど難しいことはありません。金の借り方ということによって、その人物の人格が問題になるわけです。

 ・・・ふつう、革命がおこって前の政権が倒れると、新しい政権は前の政権の借金を棒引きにするのが常識なのです。例えばレーニンは、ニコライ帝の借金を全部棒引きし、元々、そんなものはなかったという態度をとりました。ところが、日本だけは借金をせっせと返したわけです。これは明治政府がやった偉大なことの一つです。このことが、日露戦争の勝利につながるのです。

 日露戦争は、日英同盟によって勝てたのですが、同盟が可能だったのは、イギリスが日本を信用したからです。また高橋是清がロンドンへ外債募集に行き、外債を売りつけることに成功します。進んで引き受けてくれたのがユダヤ人だったからということもありますが、当時、ヨーロッパ社会、金融会社で、「ジャパンは信用できる」という公認の評価を確立できたのは、明治政府の偉大なる功績です。

 

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